人は危機的状況に接したとき、客観的にみれば異常なほど楽観的な判断をしてしまう性質があることなどを各種の実験映像を用いて説明し、なぜ逃げ遅れる事態が生じるのかをわかりやすく説明していただきました。 |
今回の出席者は118名でした。 |
林春男先生。 |
私は、部活動やサークル、アルバイト先など様々な組織に所属してきたが、組織の管理をしたことはない。特に、防災などについては学生として危機管理されてきた側であった。そのため、漠然と危機管理は重要なのだろうと考えていた。しかし、危機管理はあくまで「過程」であって、危機管理できる水準を継続的に向上させること(リスクマネジメント・アプローチ)が重要であるという林先生の考えは新しく感じた。特に、事業継続を「研修・訓練」「リスク評価」「戦略計画」「標準的危機対応システム」の4段階に分けて明快に説明をしていただいた。
それぞれについて、具体例を入れながら細やかな解説があったが、私が最も心に残ったのは「標準的危機対応システム」についてである。この項目では、一元的な危機対応体制をつくることを目的に解説していただいた。ナポレオンの軍事組織モデルに沿い、合理的な危機対応組織の考え方の基礎を学び、さらに具体的に、日本の県でも実際に採用もされている一元的な危機対応体制を学べた。まさか、軍事組織モデルに危機対応組織の基礎を学べたのはとても意外であった。
また、一元的な危機対応体制であっても、指揮官がいつも自分で行うのでなく、誰でも組織管理を行えるようなシステムをつくることが危機管理の水準を継続的に向上させる上で極めて重要であるともおっしゃっていた。状況認識の統一や状況説明資料の作成などでフィードバックをすることで一元的な危機対応体制をさらに強固なものとし、共有できる形にするのが大切であろう。
今回、拝聴して、もちろん私が社会に出た時に危機対応体制のお話は役に立つだろう。さらに、現在、私が大学院で研究していることも、自分だけでなく、学会や研究を引き継ぐ後輩に対し、認識が共有でき、さらに向上させたくなるような形でありたいと感じた。
黒木 博文(名古屋大学環境学研究科都市環境学専攻物質循環学 修士1年)