86名の聴衆が集まりました。 |
地震地下水研究の第一人者・小泉尚嗣博士。 |
小泉先生からの地震予知についての意識調査もありました。 |
地震観測網で使用される計測器といえば、地震計やら歪み計やらが思い
浮かぶが、水位計(帯水層の歪みによる地下水位の変化を捉える)という
のは知らなかった。地震と地下水の関係ありそうな話といえば、中越地震
のとき、「山が動いために水脈が変わってしまい、湧き水が出なくなって
しまった」という話を聞いたことがあるくらいだ。東海地震の予測のため
の観測として、地下水位が長期にわたり観測されてきたことは初耳だった。
講演では地下水位の事例で説明されていたが、いずれの観測項目にしろ、
大量の観測データと理論・シミュレーションの関係付け、さらに、外乱要
因の影響を排除し、通常変動との有意差有無を決める「しきい値」をいか
に決定するか、これらの作業にはかなりのテマ・ヒマ・カネがかかるとい
うことがよくわかった。卒倒しそうなほど地味で長期スパンの研究には頭
が下がる。「産・学・官」が一丸となって国を守ろうとしていることがひ
しひしと伝わってくる。
さて、「産・学・官」の、「地震予知の連鎖」とも言える観測−理論・
シミュレーション−予知。「民」の我々はどのようにつながるのか。減災
啓発や有効な対策の促進であることは言わずもがなであるが、今回の講演
テーマをいかに減災啓発に結びつけるか、悩ましい課題だ。水位変動を測
定する地下帯水層をぬれたスポンジにたとえて説明されたり、配布された
A4用紙5ページに要点がわかりやすくまとめられてあったりで、素人にもよ
くわかったし、地域に戻ってそのまま話をできそうなほどだ。だが、勉強
会−モチベーションアップ−対策実施へとつなげるためには、もう一節何
かをつなげる必要がありそうだ。腕のみせどころではある。
中根 輝彦 (西尾市下町自主防災会)
本当に地震が予知できたら素晴らしいなとおもいつつ、今回の講演を聴
講させていただいきました。5月の『どこまでできる地震予知』では山岡
耕春先生が地震予知の現実を話され、その時の話では、東南海地震が予知
できないと愛知県は大変だなと言うのが率直な感想でした。
今回の小泉先生の講演は、その曲者の東南海・南海地震を予知するとい
うもので非常に興味と期待をもって参加しました。予知ではなく予測と言
う事で少しトーンダウンした表現をされていましたが、地下水位の変化で
地震以外の要素(気圧・雨・潮汐など)を排除して観測できるように、大
変細かい事まで考慮して取り組まれているのが良くわかりました。また今
後、新観測井を各地に整備し、すでに観測データーベースの情報発信をし
ていると言う事で、更なる心配の種(モチベーション向上の元)ができま
した。
どちらにしても、ハイリスク・ハイリターンの地震予知ばかりを当てに
せず、ローリスク・ローリターンの地震対策・備えをしておくのが肝心と
改めて痛感しました。
植村 良平 (バイクボランテイア・Bi-Vo)