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小林郁雄教授。 |
66名の聴衆が集まりました。 |
災害が起こってから、大事なのは、発災時にひたすら身を守る努力をした後の、3日
後から10年間の対策をどうするかということ。なるほど。「まちづくり」とは、どの
ような建物をどう配置するのかということだと考えていたが、地域住民が主体となって、
いかに防災意識を高く保った活動を続け、防犯、子育て、景観も含まれているとのこと。
さらには、それらを相談できる場所があるといいとのこと。「復興まちづくり」とはど
ういうことなのか、認識をかえさえていただく講演でした。
私自身は、地震防災の話をする機会が多く、緊急地震速報のPRでも先ず身の安全を
図ることを説明しているが、実際に被災者の立場に立ってみれば、それから10年にも
及ぶ復興まちづくりがいかに大変で、大切なのか思い知らされた感じです。仕事柄、全
国を転々としている私にとって、愛知県は自主防災組織がしっかりしているところだと
感じます。愛知県は防災カレッジという防災リーダーの養成講座を続け、あいち防災リ
ーダー会という組織も立ち上げています。緊急地震速報の広報をお願いしたところ、精
力的に宣伝いただいています。いったん災害が起こったときには、このような方々が各々
の地域で中心になって活動されるものと思います。復興まちづくりに欠かせない人たち
だと思いました。また、今回のような防災アカデミーに参加して一緒に勉強できている
ことが、これかの愛知の復興まちづくりにつながっていくのではないかと感じました。
上田 義浩 (名古屋地方気象台)
昨年末、初めて「神戸ルミナリエ」を見るために神戸を訪れた。震災から12年経つ現在、このイベントが神戸の
復興を願うために始まったものだと知っている訪問者がどれだけいるだろうか?同行した友人でさえライトアップ
の美しさを競い合うだけのものと思っていたようだ。倒れた阪神高速道路の鉄柱の土台跡を見せられても震災の悲
惨さを感じて身震いすることはない。それだけ神戸という都市は震災以前の姿を取り戻している。ちょうどこのセ
ミナーの前日、新潟県中越地方で震度6強という直下型地震が発生し大きな被害を出した。中越地震から3年・・・
再度の大地震に備えていた住民は多くはなかっただろう。小林講師は「神戸市の復興都市計画は10年計画であった」
と語られた。中越地方でも未だ復興計画の途中であっただろう。
講師は、行政が行った神戸の復興計画でももちろん重要な役割を果たされてきたが、それに先立ち、震災直後か
らまちづくり協議会の中心となって、市民の自律的復興を支援してこられた。しかし、専門家の指導や緊急時の対
策委員会以前に、日頃からの「ゆるやかな集まり」を持つことが大切だと話された。私の住む地域にも自治会組織
があり、名古屋市の中では比較的活発な活動を行っていると会長は自負する。反対に、それを疎ましく思いがちな
世代が増えつつある。「ゆるやか」・・・ともすれば流動的で果かないイメージを持つ。中越沖地震の被災地域も
近い将来に被災を免れないと言われ続けている我々も「ゆるやかな地域力」を試されてる。
押田 晴美 (地震火山・防災研究センター,事務補佐員)
今回は、復興まちづくりへの挑戦という一見防災対策という点からはかけ離れているような題目であったが、防
災は、何も建物を補強したりしてお金をかければよいというものでは無い事をこの講義を聞いて学んだ。
一度災害が起きてしまっては、そのあとどのように動けるかが、大きな課題である。普段から、協議会等をつく
り、地域の連携を強める事が、重要である。まちの復興作業には、『MAN POWER』が不可欠であり、その源は地域
住民の協力である。普段からまちづくりを意識した取組の最初の一歩として、人とのつながりを意識することが重
要である。自分にできる身近なところとしては、近所付き合いをしっかりすることである。こんな簡単な事が、災
害時には、大きな力になるのである。耐震とか補強だとか騒ぐ前に、お互い助け合う精神、古き良き日本の伝統を
忘れかけている現在の日本人がもっとも見直すべき点である。
音野 太希 (環境学研究科地球環境科学専攻,M1)