地震防災連続セミナー

第5回 「学校施設の地震被害・耐震性と耐震改修」

講師:倉本 洋(豊橋技術科学大学助教授)
場所:工学部大会議室(工学部4号館4階)
日時:2003年7月11日(金)16:30-18:00

教官・職員・学生あわせて44名の参加者がありました。多数のご出席ありがとうございました。


05-1_thumb.jpg
豊橋技術科学大学・倉本洋助教授


05-2_thumb.jpg
被害写真・補強工法など、多くの具体例による話がなされました。


05-3_thumb.jpg
ほぼ満席の会場。





セミナーに参加しての感想

 今回の連続セミナーでは建築物の耐震性、耐震補強というものについて知識を深める ことができました。
 古い建物は地震による揺れで倒壊したりダメージを受けたりするということはよく言 われますが、私はその主な理由は建物の老朽化の影響だと思っていました。しかし、今 回のセミナーで1981年に施行された新耐震設計法を満たしている建物か、そうでな いかということが最大の要因であることを知りました。また、たとえ新しい基準で設計 された建物であっても壁の量やピロティの有無によっては倒壊した事例があるので、比 較的新しい家に住んでいることで安心し、全く備えをしないのは非常に危険だと感じま した。さらに建物の耐震性は耐震診断をすることで把握でき、耐震性の低い建物は耐震 補強工事で耐震性をあげることができることも学びました。耐震補強工法には建物の中 で生活しながら工事できるものや、ダンパーをつかって揺れを抑える技術も実用化され ているとのことです。
 自分を含めて被災する恐れのある人々は、自分の家が地震時にどうなるのかを知った 上で対策を行い(震前対策)、更にその対策を踏まえたうえで実際に地震が起こった場 合には、どういう行動をとるべきかを検討しておく(震中・震後対策)必要があると思い ます。そうすることにより、自分が遭遇するであろう状況をより具体的にイメージでき るようになり、結果として震災による被害というものはかならず軽減できると思いまし た。
藤枝信哉(環境学研究科地球環境科学専攻M1)


 今回は、豊橋技術科学大学の倉本 洋助教授による貴重なお話を聞かせていただきまし た。お話の内容は、阪神大震災による建築物の被害と阪神大震災から学ぶ今後の耐震 対策(特に学校施設を中心としたもの)でした。阪神大震災による建築物の被害では 、異なる構造様式(RC,SRC,S,木造)やピロティ、建物の偏心、既存不適格 の建築物など異なる特徴を持つ建築物における被害を説明していただき、どのような 建築物がどう危険なのかを知ることができ、大変勉強になりました。また、建物が被 害を受けた後の倒壊などの2次災害のお話もあり、このことは東海・東南海地震の連 動発生も危惧されている東海地方においては非常に重要な事柄であると感じました。
 今後の学校施設を中心とした耐震対策では、学校建築にぴても既存不適格の建物が まだ多くあり、50%以上の学校校舎では耐震性に疑問があることを知りました。ま たそれに対して、今実際に行われている耐震改修手法の例(静岡大学・豊橋技術科学 大学・京都大学など)を知ることもできました。初めて聞くことも多く、とても良い 経験になりました。
 学校施設は被災時の避難所にもなるため、とても重要な施設であると考えられます。 これからも学校施設の耐震改修を進めて、災害に備えることが必要だと感じました。
近藤貴士(環境学研究科地球環境科学専攻M1)



名古屋大学防災アカデミーのページに戻る  災害対策室ホームページに戻る