第5回 「歴史に見る地震と土砂災害」

講師: 伊藤 和明 (元NHK解説委員)
場所: 環境総合館1階 レクチャーホール
日時: 2004年10月12日(火)18:00-19:30

山国・日本では地震に伴う山崩れなどで甚大な被害が発生してきました。講演では、善光寺地震、 飛越地震、濃尾地震などの実態と教訓をお話いただきした。


 

 

元NHK解説委員・伊藤和明氏

 

地震にともなう土砂災害は日本書紀にもその記述が見られる古くからの災害です。 富山平野には江戸時代の飛越地震の際に運ばれてきた巨岩が残されているとのことです。

 

50人近い出席があり、皆、話に引き込まれていました。

 

 


セミナーに参加しての感想

今回の講演を聴き、歴史の資料からいろいろと読み取り調査をすると、 非常に多くのことがわかることが理解できた。そして、その内容を理解 して自分のものにして、積み重ねていくことが、地域で防災を進める上 でも大事であると感じた。特に内陸直下地震による山地災害の大きさを 深く知ることができた。地震予知というと海溝型の地震が対象になって いるが、内陸直下地震も予知できるようになって欲しいと強く願ってい る。
昔とは土地利用が変わっていることによる災害も心配である。名古屋市 港区では、昭和38年頃より従来は干拓された田んぼや畑であった場所が、 区画整理されて住宅街となっている。液状化被害を心配している。
鳥山 一三(あいち防災リーダー会)

今から千三百年以上昔の天武天皇の時代に起きた地震災害の記述を読み、 改めて日本は遥か昔から地震に悩まされてきたのだということ、またこれ から先もずっと地震と付き合っていかねばならないのだということを実感 した。現在でも対応に苦慮している地震・土砂災害なのだから、当時の人 の置かれた困難さはいかほどであっただろう と思いやられる。
日本は世界有数の地震国であるが、それに加え年間降水量も世界平均の 1.7倍程度あり、土砂崩れなどの起きやすい自然条件下にある。土砂災害 を防ぐため、治山治水対策などのハード面の整備ができうる限り必要だが、 技術的にも財政的にも限界はある。ソフト面の対策の一つとして、土砂災 害の可能性がある地区は行政側の指示を待たずして早期に住民が自主避難 を始めるなど、最悪の事態を避けるため住民側の意識改革も必要かと思う。 土砂崩れは家をも簡単に飲み込んでしまう力をもっており、またその被害の 広範さから「山の津波」と言ってもいいのではないか。沿岸域における「海 の津波」に対する住民レベルの行動計画などは近年広がりを見せているが、 それと同じく「山の津波(土砂崩れ)」に対する住民の行動計画なども早急に まとめ、周知徹底することが必要である。長期的には住居の場所をより安全 な場所へとある程度集約していく必要もあろう。
高橋 冬樹(環境学研究科地球環境科学専攻・M2)

地球環境科学専攻・吉田助教授による講演関連書籍の読書メモ