講師: 岡田 成幸 (名古屋工業大学教授)
場所: 環境総合館1階 レクチャーホール
日時: 2005年10月7日(金)17:30-19:00
|
|
|
セミナーに参加しての感想
北海道から防災に係わる研修で名古屋に来ているもので、今回講演を聴講させていただいた。 講師である岡田先生は、北海道の大学で私に地震防災を教えて下さった先生で、授業(講演) を聴くのは大学を出て以来ではないかと思う。北海道の大学時代でも、1993年北海道南西沖 地震や釧路沖地震などが発生した時期で、忙しい先生の授業を聞くことは難しかった記憶が ある。そんなこんなで、久しぶりに目をかっと見開いて、先生の話を聞き入った。
講演は、懐かしいあるいは見慣れた計算式・グラフを間に挟みながら、先生がたくさんの調 査で集めた多くのデータを背景に、家の広さに対する家具の数の適正さなど、目標を数値で 示されているところが、とてもわかりやすく興味の沸く話であった。また、講演の主題である、 倒れても死なない・倒れなくても傷付かないための住宅の耐震化や室内の安全性の確保への個 人の取り組み方(マネジメント)として、先生から説明のあったチェック・診断の考え方が、 研究の結果とリンクしており、わかりやすいものであった。
北海道あるいは札幌市でも、住宅の安全確保の講演が実施されることも多いが、聴講者は住 宅新築あるいはリフォームの予定がある方が多く、個人で地域防災を実施していくことを考え て聞きにくる方は少ない。聴講者の姿勢=地域性、防災への取り組みの度合になるのか、そう いった意味でも東海地方の防災には学ぶことは多いと感じた。
竹内慎一(北海道立北方建築総合研究所, 研究員)
一人一人丹念に調査した結果に基づく地震対策戦略は、説得力がこんなに違うものなのかと痛 感した。そんな草の根を分けた調査をした先生の提案は、やはり個人が実現するのに無理の無い 提案であった。各種防災セミナー等で耐震化や家具固定をやりなさいと聞くが、なかなかそれら の敷居は高い。しかし、安全空間と危険空間を知っておくということは、お金をかけなくともで きる効果的な地震対策である。まずはそれらを家族で考え、実施することが防災意識の向上にも つながる。こうした行動を通して家族内の防災意識を高めることが、ひいては家具固定、そして 耐震改修へと発展していく原動力になるのだと改めて感じた。
こうした観点で、先生が開発した「室内危険度診断システム」をみてみると、一般の人が使う には非常に敷居の高いシステムであると考えられる。自分も簡易版を使ってみたが、やはり専門 化向けという印象を受ける。一般向けにするのであるならば、たとえ正確な間取りが表現できな くとも、機能を減らす等の簡素化が必要だと思う。自分は防災のe-learningの開発を研究にして いるので、「段階的」という考え方が非常にためになった。
鶴田庸介(環境学研究科都市環境学専攻, M1)