第15回 「楽しいほうがいい ~ゲームで学ぶ防災の知恵~」
講師: 細川 顕司((財)市民防災研究所・調査研究部長)
場所: 環境総合館1階 レクチャーホール
日時: 2005年12月12日(月)17:30-19:00
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(財)市民防災研究所・調査研究部長の細川顕司さん。細川さんは元東京消防庁職員という経歴を持つ消防のプロです。
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47名の出席者がありました。はじめに個人で質問の回答を作成しました。
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続いて5~6人のグループを作り話し合いでグループとしての回答を決めます。最後に細川さんから正解と解説があり、質疑応答が大いにもりあがりました。
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セミナーに参加しての感想
一般通念として、防災教育は、とかく難しく考えられがち である。教育や訓練を伴う啓発活動は繰り返し行う必要があ るが、参加者を集めるのに苦労する。しかし、同じ内容の繰 り返しでは飽きられ、継続が難しい。私達、防災リーダーは、 いかに魅力ある内容で、啓発活動をするか工夫が求められて いる。
その点、今回のテーマは、ゲーム感覚で防災を考える非常 に面白い取り組みである。誰もが、容易にイメージできる、 易しいテーマだが、意外と判断に迷う。それだけ、内容に工 夫が凝らされており、考えさせられる。また、個々人の状況 想定により、色々な答えが生まれる。まず、それぞれの考え、 続いて、グループによる意見集約、模範回答と進めて行くが、 討議により、お互いのコミニュケ-ションも図れる。楽しみ ながら、基本的な考え方を整理するのにおおいに役に立つ、 しかもアイデアとしてもすばらしい。
われわれ日本人は、地震大国に住んでいながら、危機管理 や防災意識に疎い。一般的に、日本人は熱しやすく冷めやす いと言われている所以だろうか? 最近、TVや新聞を賑わしている姉歯物件と言われるホテ ルやマンションの耐震偽装は、モラルと危機管理の欠如の象 徴かもしれない。この問題を契機として、国を上げて安全、 安心について見なおし、確固たる安全管理機能が構築される ことを期待したい。
同時に、われわれも固定観念にとらわれず、地道で継続的 な活動を進めなければならない。知識は有っても咄嗟の場合、 機能しない。災害を想定することによって知識を整理し、減 災に努めなければならない。今後、このアイデアを取り入れ 地域の啓発活動にも役立てたい。また、地震バージョンなど にも応用してみたい。
堀家泰司郎(あいち防災リーダー会)
日ごろ、一般の方々を対象に防災の話をする機会があるが、 たとえ聞く側がやる気十分でも、ある時間を飽きさせずに、 かつ重要なことが頭に残るように伝えるのは容易ではない ことを痛感している。ずいぶん工夫したつもりなのに思っ たような反応がなくて反省、ということもよくある。今回 の細川さんの講演(というよりワークショップ)は、聞く 前から「楽しいほうがいい」というタイトルに納得してい た。楽しく、というのは自分でも意識して話に取り入れよ うとしてきたことである。しかし、実際に参加してみて、 目から鱗の経験をさせていただいた。
内容は、ある状況設定(台所のてんぷら油火災)で、与 えられた12通りの行動のよしあしを順位付けする単純なも のである。まず「正解が必ずある」といわれてやる気にな り、自分で考えて意外に難しいことに悩み、次にグループ で議論して熱くなり、さらに正解を聞いて納得する(ある いは講師に反論したくなる!)。加えて、説明資料が進行 に合わせたよいタイミングで順次配布される。豊富な実践 経験に基づく巧みな手順で、あっという間に時間が過ぎて いた。
自分が災害の場にいたらどうするかを短時間にしっかり 考えさせること、その考えをグループで議論して意見をま とめる体験をすること、正しい知識が頭に残るようにする こと、楽しかったと満足感を与え、さらに自分でも工夫し てみようと思わせること、など、防災意識啓発に大切な要 素がうまく盛り込まれていた。簡単に準備できそうに見え て、実際は周到な検討を経ていることもわかった。紙の資 料と話だけでこういうやり方もできるのか、というのも感 心させられたことである。多数来場されていた防災に関心 のある方々の反応からも、防災啓発活動のヒントを得たこ とが感じられた。
飛田潤(災害対策室・助教授)