第19回 「鉄筋コンクリート造住宅の耐震性能」

講師: 勅使川原 正臣(名古屋大学環境学研究科・教授)
場所: 環境総合館1階 レクチャーホール
日時: 2006年5月25日(木)17:30-19:00



セミナーに参加しての感想

今回の防災アカデミーは、昨年末から世間を騒がせている耐震偽装問題の 事もあり社会的に大きな関心ごとの1つになっている「鉄筋コンクリート造 住宅の耐震性能」というテーマであった。私自身は理学部出身で地震学を専 攻していたこともあり、今まで地震工学・耐震工学に関する授業や講演は数 えるほどしか聞いたことがなかった。そんな興味もあって、今回のセミナー に参加することにした。
講演を聞いて、過去の大地震で生じた建物被害と、そこで得られた教訓が 耐震設計にどう生かされてきたかが良く理解できた。特に、阪神・淡路大震 災でのマンション被害を例にとり説明された「壊れないための設計から、そ の後も使い続けるための設計」という考えには強く共感した。生き抜くため の大前提が崩壊阻止であることは疑いようがないことである。しかし、生き 抜いた者にとっては、被害を受けた住宅の改修・建て直しに掛かる費用が重 くのしかかってくるのもまた事実であり、「使い続ける」という言葉の重み を感じた。
講演を聞きながら、11年前の神戸の様子を思い出した。ビルの解体作業を 何度も目にした。今回のセミナーでは、あの惨状の中から得られた教訓が、 今後何度も発生するに違いない大地震の被害低減にいかされるであろうこと を実感することができたし、そのことを強く期待したいと思う。
橋本裕司(応用地質株式会社)

いわゆる耐震偽装事件が、ここ半年紙面をにぎわしている。しかし、記事を読んでも、 現行耐震基準に比して偽装マンションの強度が弱いことはわかるのだが、そもそもの 基準を知らない素人にとっては、それがどの程度なのかはよくわからないのだ。勅使 川原先生の講演では、近代建築物が建てられはじめた明治時代から現代まで、どんな 地震被害があったか、そして被害を減らすために、建築設計基準がどのように改良さ れてきたか、また、建築物の強さをどんな風に評価するのかという「考え方」をいろ いろ紹介していただき、たいへん勉強になった。建築基準は着実に改良強化されてい る。健全な構造計画がなされ、最新の建築基準に適合した住宅は、おそらく断層の直 上にでも建てない限り、阪神大震災で見られたような大きな損傷は被らずにすみそう だ。今後は、既存不適格な古い建物をどうするかが、地震被害を減らす鍵になると思 われる。築40年の自宅マンションのことが少し心配になった・・・。
松本正和(理学部化学科,助手)

少し前に話題になっていた、耐震偽造問題が少し気になっていたので、耐震につい てどんなことを行っているのか知りたくなり参加した。建物の振動台実験の映像では、 実際に地震が起きたら、耐震補強をしていないと建物というものはこんなにもゆがん でしまうのかと驚いた。自分が下宿しているところは、1998年築の軽量鉄筋二階 建てなのであそこまでの危険性はないと思うが、実家は強い風が吹いただけでも軋む 音がするような随分と年季の入った(築何年かは不明。少なくとも祖父が子供の頃に はもうあった)木造建築なので早急な対策が必要…だと強く感じた。ただ、正直なと ころを言うと専門的な事柄が多く、よく分からなかったところも多い。今後、勉強を して、もっと理解できるようになりたいと思う。
都築拓朗(名古屋大学,学部1年)

専門科目の授業でコンクリート構造の講義を少し受けていたので、全体としては 一応理解できたが、建築を全く学んでいない人にとっては理解するのが少し難しかっ たかもしれない。今回の講演に出席し、改めて聞いたおかげで、授業では理解でき なかったことが理解できたこともあった。今後、土木方面に行くか建築方面に行く かを2年になる前に決めないといけないので、そのための参考になってよかった。
今回の講演では振動台実験の様子や結果を映像としてみることができたので、 コンクリート構造物の壊れ方や力の伝わり方を、一度授業で聞く以上に深く理解す ることができた。
田中佑治(名古屋大学,学部1年)


名大トピックス(2006年7月号, No.158)に掲載されました。PDFファイル