第29回 「どこまでできる地震予知」

講師: 山岡 耕春 (名古屋大学環境学研究科教授)
場所: 環境総合館1階 レクチャーホール
日時: 2007年5月29日(火)18:00-19:30



30分の質疑応答時間があり、多くの質問が出されました。

山岡耕春教授。

123名という多くの方が参加され、会場は一杯になりました。


セミナーに参加しての感想

地震予知はどこまで可能か? 私のような地震についての素人が「地震予知」と聞くと、 そんなこと本当にわかるの? なまずが? と思ってしまいがちだ。しかし、今回、山岡先生 の講演で、地震予知とはどのようなものなのか、地震予知の現状はどうなっているのか、そ して、最も気になるところである東海地震の予知はどの段階まで進んでいるのか、について 詳しく知ることができた。特に、アスペリティモデルなどの最新の研究成果を取り入れたシ ミュレーションによる中期予知、プレスリップの科学的解明やそのような前兆現象を観測す ることで今後発展することが考えられる直前予知には、これからの研究の進展が益々期待さ れる分野だという印象を受けた。
これまでの私ならば、地震予知について何となく聞いたことがあるだけで、もしある日突 然マスコミで騒がれたとき、最新の「強震動予測図」などを見せられて、さぞかし慌てふた めくことであっただろう。しかし、これからはそのような時でも、冷静にその対処法を考え ることができるのではないだろうか。今回の防災アカデミーでは、自ら積極的に、地震や防 災に対する知識を深め、安易な情報に惑わされない、冷静な一般人としてこれからも行動し ていきたいと考える、よい機会を与えていただいたと思う。
松本みゆき(名古屋大学大学院教育発達科学研究科・大学院生)

仕事柄地震対策の講演を行うことが多いのですが、質問時間になると私の話とは無関係に 地震予知の可能性についてたずねられます。山岡先生の講演にも出てきましたが、地震雲や 動物異常行動の話は最も多い質問のひとつです。そのような時は決まって、地震予知の権威 である山岡先生に聞いてください、とお答えしております。
今回、「地震予知の科学」を執筆され、地震予知の現状を正しく誠意を持って社会に伝え ようとなされる先生の努力に頭が下がる思いです。軽妙な口ぶりがまた魅力的であり、時に はこんにゃくモデルを使いながらの説明も分かりやすく絶妙です。
私が大学院の頃は遠州灘地震とか駿河湾地震とか騒がれていました。それから30年経ちま すがまだ東海地震は発生していないし、予知の可能性も山岡先生によれば「科学的には試行 段階」との事ですが、これはちょっとまずいのではないでしょうか。いまや予知から緊急地 震速報へと関心が移っているように思えます。此処は山岡先生にもう一分張り頑張っていた だいて地震予知研究の新たなステージを開拓していただきたいと思います。東海地区は東南 海・東海地震を抱え日本で最も危険な地域です。少しでも犠牲を軽減できるよう努力をお願 いいたします。
正木和明(愛知工業大学地域防災研究センター長)