『防災アカデミーを聴講して』
災害対策室並びにアカデミー関係者の皆様、この度は田中重好教授による御講演「災害は短く、恵みは長い」を聴講させていただき有難うございました。社会 学の視点から‘災害と人間’の関係を捉えた“災害観再考”は非常に興味深い内容でした。特にある登山家の言葉として田中教授がご紹介されました『晴れた日 に、荒れた山を思え』という言葉は、災害のみにかかわらず、ビジネスにおける危機管理、家庭、恋愛(?)、もちろん地球環境問題においても、“共生”を唱 えるあらゆる事象においてあてはまるフレーズではないかと思いました。そして、御講演の締めくくりとして仰られた『よりローカルな解』が残された“災害と 共生する術”であるとの結論、しっかりと腑に落ちました。最後に、このアカデミーの存在が老若男女を問わずより多くの県民・市民に“届く”ことを願いま す。
寺西 睦
(㈱電通 中部支社)
(名古屋大学大学院環境学研究科社会環境学専博士後期2年/竹内恒夫研究室)
(国連環境計画広報部アウトリーチユニット青少年プログラム外部顧問)
災害は短く、恵みは長い。はじめて耳にしたとき、この言葉に非常に違和感があった。多大なる被害をもたらす災害の恵みとは何だろう。そんな私の疑 問に、田中先生は非常に分かりやすく答えてくださった。現代の災害観は、災害をコントロールするという考え方に偏っている。たしかに私たち人間は、科学が 進歩するに伴って、自然を管理しようという考えに向かっている気がする。まず防ぐということも大切だが、災害と共生、馴化しながら暮らすことの大切さを考 えることができた。
また、先生の話の中で特に印象的であったのは、「人は常に災害のことを考えているわけではない」という話であった。専門家の視点からすると危険なことで あっても、一般の人は気にも留めないということが多々あるのだろう。実際、私が今住んでいるアパートも耐震という点では満足なものではないようだ。そして この話は災害だけにとどまらず、私たちの身の回りに起こる様々な問題に対しても同じことが言えるのではないだろうか。
今後は日々の生活の中でも、今回の公演内容を肝に銘じて、災害だけでなく広い分野に活かしていきたいと思う。
塩田誠
(名古屋大学工学部化学生物工学科分子科学コース二年)
「音で探る海溝型地震」
講演:田所敬一(名古屋大学大学院環境学研究科准教授)
日時:2010年4月26日(月)18:00~19:30
場所:環境総合館1階レクチャーホール