私の体験的危機管理 ~阪神・淡路大震災と新型インフルエンザ広報体験から~ |
講師紹介
1月19日の第66回防災アカデミーは、神戸市市役所代表監査委員の桜井誠一さんを講師としてお招きして開催します。
阪神淡路大震災の当時、桜井さんは神戸市の広報課長を務めておられました。発災後は通信網が輻輳し、情報収集もままならないほどでした。このような中、桜井さんはより多くの情報を集め、広報するために、どのような工夫をされたのでしょうか。
また、2009年には、世界中で「新型インフルエンザ」が猛威をふるいました。感染者を諸外国から国内にいれ ないための「水際作戦」が続く中、国内で初めて感染が確認されたのは神戸の高校生でした。このとき、桜井さんは神戸市保健福祉局長として、マスコミへの対 応や情報発信を行いました。
このように、桜井さんは危機的な状況下で陣頭指揮を執ってこられました。そのご経験をもとに、当日は大変貴重なお話をいただけると思います。是非多くの方に聴講していただきたいと思います。
講演のようす
会場内の様子 | 講演される桜井さん |
会場は97名の参加者で満席となりました | 質疑応答の様子 |
参加者の感想
報道の現場から離れて3年あまり。取材する側から立場が180度代わって、今の私は取材を受け る、記事を書いてもらう、公表するという「広報」の仕事をしています。阪神大震災の際に神戸市役所の広報課長だった桜井誠一さんのお話は今の立場では同業 他社の教訓という感覚で耳に入ってきました。災害や事故現場からの情報は初期においては量として不十分であり、その混乱から内容が2転3転することは日常 茶飯事であるのが宿命です。しかも大地震という異常事態の中で神戸市という大都市行政の看板を背負って、市民にとってより正確なより必要な情報をスムーズ に集約して公表していくことは並大抵ではありません。私見ですが、そのためには普段から報道機関と行政機関の間で大災害時に備えての情報交換の場が不可欠 ではないかと思うのです。報道機関はネタになる話以外は当座の修羅場を過ぎるとそこから教訓を引き出して後の世代に系統的に伝えていくことは後ろ向きです し、記者一個人も評価の対象にならないことには極めて消極的です。その点は行政も「広報」という分野はある意味で伝統的な本来業務ではないので、同じ思考 回路ではないかと思うのです。東南海地震など巨大地震の同時発生の危険性が年々高まっているだけに、望むべくは阪神大震災や中越地震など近年の大地震を体 験した自治体の間で広報の在り方について情報交換する場が設けられ、その輪に地元の報道機関も何らかの形で関わっていくネットワークの必要性を桜井さんの 話を通じて痛感しました。